長い病床を抜けて
ぼんやりした視界のまま
外界を切りとる
幼い頃の夜の夢は
すべてが明晰夢だった
つまり夢の中で夢と知っていて
さらにその夢を現実世界へ落とす時期も夢の中で決めていて
数ヶ月後や半年後など
夢で決めた時期になるとデジャヴのように正夢となる
そんなことを繰り返していた
当たり前のことだから当時は誰に言うでもなく
やり過ごしていた
いつの頃からかそれもなくなり
当時よく見たその明晰夢の感覚だけが
リアルに思い出となった
振り返ると
生まれたばかりの頃の方が
今よりずっと
すべての成り立ちを至極当前に理解していた
ただ
成長する過程で
そこへ茶々を入れるようにして
羞恥心の発生や自尊心の決壊が起こるような人との関わりがあって
いつの間にか
そのルールから出ないようになった
塗りつぶした明晰な白を
大人になってまた
消しゴムで消すような作業が起こり
この
遠回りな二度手間を
振り返っている
大人になるまでに必死になって塗りまくった色面は
大人になってから必死になって消す
それがこのニンゲームのテイ
人の目を気にして言われるがままに塗った代償に価値を見出せと問う?
大人になったカーソルで選択したら
だから一気にdelete
外灯にとまっていた鳥が
飛び立って急降下し
場所を変えた
あれは
梟かしら
腹に力が入らないから
あなたがわからない