身に覚えのない事柄を嘯く調子で並び立てる女の言葉端を気にして、彼女は泣く
わたしはそれを対座して眺める
彼女の耳はもう
嘯く女の言葉を何一つ逃すまい、とまるで躍起になって
その目は、わたしからはるか遠ざかった
手を伸ばしても彼女に触れることはできない。そんな気にさせる
悪態をつく女にこそ問題があるのに、そんな客観さえ見えなくなっている彼女は
小さな頃からここにいるのかもしれない
目の前にわたしはいるのに
彼女の瞳にわたしはいない
かたや、人は、人につられて笑い合う
老いていく母と生きていく娘と
互いの瞳の中に、触れられる相手がいる