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街の中の色
街を歩いているとき色の神経衰弱をする。なるべくどこにも焦点を定めないで、景色を瞳に映るまま解放していると、たいてい同じ色が視野の中にふたつはあって、結んでいくゲーム。目の前を歩く黄金色のフレアスカートと、向こうから歩いてくる女性の肩を抜いたシースルーのトップス。遊園地帰りの女の子が持つドルフィン型の風船のショッキングピンクと、私の少し先を寄り添って歩く老夫婦の男性が持っている手提げ袋から覗く包み紙のピンク。おそらく面白いほど色は視野の中を重なっている。流通のロットから自分好みを選んでも、広く俯瞰した視覚現象の世界の中でオリジナルにはなりえない。
混んでいないカフェを探して入ったところは二階がミュージアムだった。大きなクジラが空を泳いでいて、それを気持ち良さげに眺める人。色も人も波動だから、どうやったって何かと共振しあうんだろうな。
類似性をたどれば輪郭に触れられるかもしれない。