海金砂



「新しい土地で、あなたは何か、新しいことを始めなければならなくなる、かもしれないね」と、彼女から告げられた。
えっ。新しいことって何?
思い出しては考えることを繰り返して、夏になった。
夏のはじめ。その答えが出た(のかもしれない)。
夏のさなか、覚悟を決めざるを得ない出来事が二度起こる。
私にとって堕落や辱めでしかない覚悟なのに、
なぜかいく先々で待っている人々は温かく、見える景色が光る。

ないものをなぞるようにあるものがあり
今までとは真逆のこと
私が本来のちっぽけな砂に還ると
視界の外に大きな弾力が触れる。