人にはそれぞれつま先と眼差しを向ける方向がある。迷っている時はそれがぐるぐると回転するし、決めたと思って踏み出した一歩をまたもどに戻してしまうことも普通。今わたしが向けているつま先の方向は、歩んでいく道の磁力に寄せられるように強力に地面を踏みしめて、その足には迷いがないけど決定されている道へ出す一歩に心はなんだかめんどくさくて怖くて目を背けたがっている。でも太陽が鼻歌を唄いながら私の頭上までやってきて、好きな子にわざと難しいクイズを出した時に浮かべちゃう、ちょっと意地悪な口元で嘯いた告白をして意地悪そうにニヤついたままその子をほったらかして自分だけ一段抜かしに山に潜って地球を一回駆けっていって、でもやっぱり気になってまた翌朝に手土産を持っていそいそとその子の前に現れる日々に、いつの間にか私は太陽を先に歩かせてその後をのんびりと今度は私が鼻歌を唄いながら歩いていくのだ。あの時向けたつま先の未来へ。