solo-exhibition
1st,may.2015-30,may.2015
at HARICOT ROUGE (http://homepage3.nifty.com/haricot/)
statment
コンプレックスだった油画を今年の1月から再び描き始めたが受験対応の当時とは違うさまざまな制約のない制作は、心地よかった。油画から離れていた二十数年という時間もわたしの好奇心の鮮度を高めたようだ。
昨年のトポスインタビューでわたしは「現象に美しさを感じる」と話している。画用紙に水干し絵の具の粒子が定着した様が美しくそれを作品とした。彩色を施した後は、乾燥を待つことが制作のすべてだった。画面上にできた水たまりにゆっくりと交色する宇宙のような色彩を見て、わたしは幾度となくその近視眼にとんだ。重たい粒子が水下へ溜まり軽い色粒が上澄みに浮かぶ。そして乾燥し色は重なり合う。わたしはその様を見届けた。ただそこに絵画性を求めるとき、どこか受動的すぎるとも考えていた。素直に言えば描きたかった。だから制作途中で何度も試行錯誤してみたが、現象を残すことと描く行為をうまく噛み合せる事はむずかしかった。そんな模索をしている時にホルベインのスカラシップにより画材提供の機会を得て、知人の勧めもあり油絵の具に手を伸ばした。
油彩では、描くことで現象が表れた。これはわたしの画への欲求を満たす契機となり、以来冬の間の没頭となった。その没頭の残像が今回の展示作品である。
これは、あからさまな方向性を含まない様々な絵の展開となったが、この中から私はこれから始まる一筋の道を見出す予感がある。
「練習嫌いが練習しだすと恐ろしいですからね」とピアニストが言った。その言葉を今そっと胸中で反復している。
文責 ごとうなみ
文責 町田哲也
付記
尚、画家は開催後展示(作品配置など)を変えた。これは作品の強度に関する照応構成で生まれる印象へのデリケートな配慮である。よって、後日記録撮影を行う予定。現在は初日撮影した記録撮影の内容とは異なった展示となっている。