最後に筆を置いてから4日が経っても、壁にかけて写真を撮影するだけで油がじっとりと垂れてくる。顔料の沈殿する様や、ドロップしたのちに一旦下層まで到達し半乾きの中層色をひっぱりながら浮上してくる油画の変化を楽しむのには乾燥が遅いのは具合のいい反面、その間必然に積もる見えない塵や狭い作業場での思わぬ事故に画面を危機に晒すぐらいなら、やっぱり早く乾いたほうがいい。でも、そもそもこんなに遅すぎるのはどうしてなのか。画材メーカーの技術専門者さんへ連絡をとって恥を晒してみた。
小作品でも大量の調合油を使うわたしの技法で市販のオイルを買っていては、死ぬまでにあと数枚だろう。やっと油と仲良くなってきたのにもう今世で描けないのは悲しい。お話を聞いて、どうりでなるほど、そういう訳だったのか、然りと腑に落ちる。丁寧に解決方法も二、三ご指南くださったのでその通りに行ってみることにする。つい先日も今まで仕様で大量に調合した油があるから、それに頂いたアドバイスを実行してみて、どこまで変化するのかがとても楽しみだ。どの世界でもそうだけど、その道の専門家の言葉は、シンプルで的を得ていて鋭くて早い。電話口なのに、まるでわたしの絵を見ているような画面共有感でスパスパと問題指摘と解決案を提示してくれるのがとても心地好かった。
先日レジセンスアーティストの展示へ数人で出かけた際、ガウンちゃんという韓国から来ているアーティストと知り合った。ガウンという発音が自分の名前だなんて、なんて可愛いんだろうと内心感動する。宮内さんの作品はどこか自分の画の要素とリンクするところがあって、今後彼女の作品がどのように展開していくのか注目したい。
宮内由梨展「The Pond of Melting Pureness」
2020 6.1-7.8/ 9:00-21:00
横浜市民ギャラリーあざみ野 エントランスロビー/観覧無料
横浜市青葉区あざみ野南1-17-3 アートフォーラムあざみ野内