観測問題



手足の先が冷えてそういえばもう10月も下旬だもんなあと思った翌日に汗ばむような陽が差す近頃の気象に、落ち着かない日本の四季を実感させられるけれど、蛍光灯が苦手で自然光でしか絵をかかない私にとって、日照時間は一日一日と裏切ることなく短くなっていて、秋が深まるにつれ夜長をどう過ごそうかとしばしおもうこの頃。

遠く山人より紅の便りが届いて、ピンと張り詰めた浄らかな空気を想像した。




8月に決心したことがこの10月にひと段落ついて、卒業の花束を頂いた。花を頂くのはいつだって嬉しい。紫を基調にしたシックなブーケ。ちょうど描きかけの赤い絵の上に置いてみたら、まるで劇場に広がる芝居のように花たちが話し出したり踊ったりする。花を頂くと私はたくさん撮影する。そしてその中の一枚の写真が切りとられ、いつか私の絵画になるのだ。花束を頂くときは、何かしらストーリーがあった時だから、写真になり絵画になってその記憶が都度浮かんでは漂よう、それがいいなとおもう。

目下制作中の100号。今回も危うく現象に引っ張られて暗に受け入れてしまうところだったけどノートのおかげで踏みとどまれた。頭の中での対話より紙に字を起こした方が思考が分解できる。わたしにはそれがあっているということだろう。
さて
観測問題。
方向は大事。