いつもその木が気になっていた。通り過ぎるたび。何故かはわからない。「色合いかな」と思っていた。でも、いつも通るたび気になってしまうから、通り過ぎるのではなく、今日は訪れた。狭い道のカーブにあるので、5分ほど歩く離れたところに車を停めて、手にしたカメラで覗く。数枚撮る。この木の何が気になっているんだろうと思考していると、小さな鳥居が見えた。山の上へ誘っている。けれど獣道で私には歩けそうにない。狭い道路の先反対側に広い神社が立派にある。そこまで歩いて全景を引いて見ると、小さな鳥居が立っていた山をぐるり囲むように道がある。坂を登りながら少し歩くと石階段がありその小さな山のてっぺんに来た。いくつかの古の社が建っており、大きな木が聳えていた。古くから大切にされてきたような土地の丸み。気になったはじまりを今思い出したけれど、しばらく私はモチーフとなるような木をそういえば探していたんだ。社があるなんて思いもしなかった。少しの間丁寧に頭を下げて写真を撮らせてもらう。振り返ると夕暮れがかる冬の太陽が木々の隙間から眩しい。