process of drawing




10日程前から今日二人で食べるほうじ茶葉の水羊羹を楽しみにしていた。美味しい珈琲と一緒に頂く予定だったのだけれど生憎豆を切らしてしまって、微糖の紅茶にする。もしかしたら刺さらないかもしれないでも念のためと用意した黒文字が、やはり用無しになるほど、水羊羹は柔らかくほろほろと口の中でほどけた。「どう見ても蒟蒻にしか見えないね」と本当に蒟蒻にしか見えない水羊羹を笑いながら、あっという間に口温で溶かす。時が過ぎ一人に戻り制作の手元に意識は集中し浅はかな思惑は頭をよぎるがままにして、それでもこうしていられる心に小さく気づけば、水は満たされる。