この線上



何も話せなかった。でも、目の前に、私のすぐ目の前に彼女がいて、時々、目も合い、その存在の振動は十分すぎるほど伝わってきた。45分間の一人の時間に、たくさんの制作風景の写真をスライドで説明しながら、制作の孤独さや精神を物質へ変える苦心を、引きもせず足しもせず話す。時々何かがぐっと押し寄せて涙腺が震えた。私は何に触れたのか。




自分の脆弱さを思い知る。
意気地の無さも。
思慮も浅く稚拙な表出と痛いほどわかっていても、
それでも、この線上に立っていたい。