Camaïeu

自然光でしか絵を描かない。それは今でもそう。でも今描いている写生は作品というよりも描写だからちょっと試しに今日蛍光灯の下で夜描いてみた。日中描こうと思っていたのに、今日は用事ができてしまって描けなかったから消化不良を解消しようと思って。電気の下ではいつもとやっぱり色の見え方が違うし、明日の朝、自然光の中で見たときに今イメージしながら描いている色とのギャップがきっとあるんだろうなと思うけど、こうして電気の下で描いていることが、そもそも懐かしい。受験間際の夜間部の感じ。

今回の描写は有色下地で描き始めたから、何となく古典技法に沿って描いているけれど、所謂油絵の良さを描き進めながらとても実感している。そもそも油自体、物質的に強い素材だ。その上で絵の具を薄く何度も重ねながら影やハイライトで描き起こした後の有色の活き活きした表情!油絵の具が喜んでるというか笑、ファン エイク凄いって心の中で叫んだ。これは抽象を描いているときにはない感覚。この、油絵の具が喜んでる感じ、抽象でも描けたらいいな…

受験部の名残からかこうしてただ描写に集中していると、そういえば昔、自分はデッサンでモチーフそのものになることが好きだったなあと憶いだした。没頭して我を忘れると描いているモチーフそのものになる自分がいてナスならナスに、キュウリならキュウリに描いていると憑依される。その一体感がデッサンの一番好きなところだった。今こうして花を描いていてもそれは変わらないな。

このお花束をいただいたストーリーも、描きながら憶いだす。
私にとっては精神作用がとても高い作業だ。やっぱりこのシリーズは自分のために続けていこう。
死ぬときは花に埋れていきたい。