明朝S100二枚を業者へ託すため朝から梱包作業を進める。100号とはいってもそれなりに大きい。リビングの机を端へ寄せ椅子をどかし、エアキャップを広げて作品を横たわらせる。ドタバタと騒々しいのに、猫はいつもの彼女のベッドにしている椅子に丸くなってスヤスヤと寝ている。慣れたものだね、と愛猫を横に見ながらまた作業を進める。途中で梱包材がなくなり近くのHSへ走り、帰ってきた時も猫はそのままの姿で寝ていた。老齢になって日中のほとんどをこのベッド椅子で寝て過ごしている彼女。そんな余生を楽しむ姿はとてつも無く可愛いい。「ただいま」と猫なで声で名前を呼んでみる。するとめんどくさそうに片目だけ少し開けて、返事をしてくれた。
いよいよ二枚合わせて梱包する段になると、流石に重たく。でも何とか上手く梃子の原理を使って360度向きを変え、表裏もひっくり返し、ようやくできた。明日の業者さんが持ち運びしやすいように、取っ手の手がかりも作ったりして。ふう、と気づいたら朝から無食でもう正午も過ぎ切っていた。いつか梱包の始終を録画して動画を作ってみようかな、わたしのように一人で結構な大きさのものを梱包しなければならないシュチュエーションの女性に、万が一役に立つかもしれない、なんて考えながら部屋を元通りに片ずけて、遅いお昼を食べる。
それから作業服を着替えて、身を正して参拝に行った。個展開催のご報告と盛会の祈願。こんなことを書くと熱心な信徒のように思われるかもしれないけれど、わたしはどこの宗教にも属していない。けど、昔から神様と呼ばれるものが好きで都合よく持ち出しては、ジーザスでも大御神でもお祈りをしてきた。祈るというものが好きなのかもしれない。思い返しても小さい頃からずっと祈っている。祈りはヴィジョンだから。
正負の気持ちが同時に反対のベクトルで動こうとする。いつものことだけど。
だから、深呼吸して、わたしは祈るのかも知れない。